大阪・靱テニスセンターで開催されている「大阪市長杯 世界スーパージュニア」(本戦10月12~18日)は第5日、シングルス準々決勝とダブルス準決勝を行った。日本期待の綿貫陽介(グローバルプロTA)は第3シードのキャスパー・ルード(ノルウェー)に3-6 4-6で敗退。これでシングルスの日本勢は姿を消した一方、ダブルスは大活躍だ。綿貫はルオ・チェンシュン(台湾)と組んで第1シードのルード/チュン・ユンソン(韓国)に勝利。ワイルドカード(主催者推薦)の望月勇希/今村昌倫の清風コンビがこれに続いた。
前の試合から「フォアの感触があまりよくない」と言っていた綿貫は、シングルスは両セットとともに1ブレークずつ許し、自身にブレークチャンスは一度も訪れなかった。
全米オープン後の右肘のケガは、この大会への準備に多少影響を及ぼしたが、日本人の出場者中トップの実力をダブルスで発揮。今年の全豪オープンで初めて組んで以来、仲がいいという台湾のルオとのペアで、第1シードを7-5 6-3で撃破した。相手ペアのひとりは綿貫がシングルスで敗れたルード。リベンジと同時に、このコンビで初の決勝進出を果たした。
綿貫陽介(右)とルオ・チェンシュン(台湾)のペア
決勝の相手は今日のセンターコートを盛り上げた日本人ペア、望月/今村。地元大阪、清風高校の3年生と2年生コンビは、彼らにワイルドカードを与えた大会主催者の期待に見事応える大活躍を見せている。同じ学校ではあるが、ペアを組んだのは先月末の国体が初めてだった。今回がまだ2度目だが、「ストロークでミスしないので、安心して前で動ける」と望月が言えば、「チャンスでしっかり決めてくれるので、頼りにしている」と今村。ガッツを前面に押し出してプレーする望月が、後輩らしくやや控えめな今村をリードするかたちで、コンビネーションは一戦ごとに高まっている。
アレックス・デ ミノール/コディ・ピアソンのオーストラリア・ペアとの準決勝は、マッチタイブレークで決する最終セットに勝負がかかった。8-1と大きくリードしながら8-4に縮められ、その後、9-4とマッチポイントを握ってから9-8まで追い上げられるという、ヒヤヒヤの終盤。しかし最後は、誰もがアウトと思った望月のストレートへのフォアが絶妙の軌道を描いてコーナーに落ちた。
ともに国際大会の経験は豊富とはいえない。しかし、今年の全国選抜高校テニス大会の個人戦を制した望月は、全米オープン・ジュニアの予選にワイルドカードで出場した。1回戦で敗れたが、その相手が今日のダブルスを戦ったデ ミノールだった。
「あの大会で外国の選手との戦い方はわかりました」と大阪人らしく口は達者だ。その戦い方とは、「攻めます。相手より先に攻めます」。実際、その学習内容が今日は生きたのかもしれない。
(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)
※写真は決勝進出を果たした望月勇希(左)と今村昌倫(右)