大阪・靱テニスセンターで開催されている「大阪市長杯 世界スーパージュニア」(本戦10月12~18日)は第5日、シングルスの準々決勝とダブルス準決勝が行われた。注目の14歳、内藤祐希(長岡市TA)と16歳の本玉真唯(日出高)の2人がそれぞれ格上の外国選手を相手に会心の勝利。ダブルスでは荒川晴菜(吉田記念テニス研修センター)/宮本愛弓(志津テニスクラブ)が決勝進出を決めた。日本勢が好調を維持したまま週末に突入する。
予選から勝ち上がった内藤は、今日も負けなかった。相手のビクトリア・クリク(ポーランド)はノーシードだが、今が自己最高の127位という上り調子の16歳だ。
昨日までとは違う黄色の鮮やかなワンピース。昨年の中牟田杯でひどい負け方をしたときのウェアなのだという。「嫌な思い出を消せるように」と選んだ。こういうメンタルも頼もしいが、足を使ってよく返し、時にカウンターで、時に高い打点からウィナーを取るテニス自体、見ていて楽しい。
立ち上がりのゲームをいきなりブレークした内藤は、6-4 でセットを奪い、第2セットも第5ゲームでブレーク。ここまでの試合同様に、相手は終盤に自滅気味となり、内藤は予選から数えて連続6試合目のストレート勝利を手に入れた。
今年の夏に全日本ジュニアのU14でベスト4に入ったのが国内の最高成績だった。理由は自分でもわかっている。
「日本の選手のボールは低く滑ってくるのであまり好きじゃない。外国の選手の弾むボールが好き。叩いて決めたいから」
そういう意味では、準決勝の対戦相手が日本の松田美咲(浦和学院高)でなく、第11シードのバルフ・ジェンギズ(トルコ)になったことはよかったかもしれないが、松田は実に惜しかった。左からの思いきりのいいスロトークを駆使し、最終セット5-5まで競り合ったが、最後の最後にブレークを許して3-6 7-5 5-7で敗れた。
本玉真唯
ところで、14歳という年齢で内藤がクローズアップされやすいが、もうひとり、本玉の快進撃にも驚かされる。昨日は第6シードを破り、今日は第4シードのダイアナ・ヤストレムスカ(ウクライナ)に4-6 6-3 6-3で逆転勝ち。相手のパワーショットにも下がらず、速いテンポのストロークを今日も心がけた。バウンドしてから滑ってくる本玉のショットを嫌がるのは、日本選手も海外選手も同じようだ。
第1セットはブレーク合戦から最後は逃げきられるかたちで失ったが、第2セットになると「だんだんタイミングも合ってきたので、ストレートへの展開を早くするように心がけた」と本玉。そしてもうひとつ、いい兆候があった。
「使っていたミサンガがちょうど切れたので、これはいけるかなと(笑)」
願いは叶い、見事準決勝進出を果たした。これまで国内では全日本ジュニアU16、U14の優勝のほか、全国中学生、中牟田杯など、数々のタイトルを手にしているが、国際大会はグレード4の優勝が最高成績で、グレードAの本戦は今回が初出場。今年はディフェンスの向上に力を入れて取り組んできたという。努力の成果とミサンガの効力はどこまで発揮されるだろうか。
また、ダブルスでは荒川/宮本がヨウ・ミゾウマ/ニマ・ゾウマの中国ペアに7-6(0) 6-2で勝利。まだ15歳と14歳だが、先月も兵庫のグレード4の大会で優勝し、2月にはオークランドでグレード3も制している息の合ったペアだ。とはいえ、グレードAでは宮本が昨年のこの大会でリュー理沙マリー(沖縄尚学高)と組んでベスト4入りしたのが最高で、決勝進出はどちらにとっても初めてだ。明日は第1シードのヤストレムスカ/ジェン・ウーシュアン(中国)に挑む。
(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)
※トップ写真は準々決勝を勝ち上がった内藤祐希