大阪・靱テニスセンターで「大阪市長杯 世界スーパージュニアテニス選手権大会」(ITF Grade A/本戦10月17~23日/ハードコート)が開幕した。国際ジュニア大会で最高レベルの『グレードA』大会。初日の今日は、シングルス1回戦32試合のうち22試合が行われた。
64ドローの中に28人の日本人が本戦に名を連ねるが、中でも注目は昨年決勝を戦った本玉真唯(S.ONE)と内藤祐希(TEAM YONEZAWA)。第3シードの内藤はポーランドの選手を6-2 6-3で一蹴し、第4シードの本玉は中国の選手を6-4 4-6 6-0で退けた。
そのほか、女子第5シードの宮本愛弓(ローズヒルTC)はトルコの選手に6-1 6-2、第14シードの佐藤南帆(有明ジュニアTA)はリトアニアの選手を6-0 6-4と、シード勢が2回戦へ駒を進めた。
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昨年は予選から決勝まで駆け上がった内藤が、今年は日本勢のトップランカーとして、センターコートの開幕試合を危なげない勝利で飾った。ポーランドの同じ15歳に6-2 6-3。全身を使った伸びやかなストロークで、攻守のメリハリのきいたプレーを終始展開した。
昨年とは立場が変わり、背負っているものが違うが、「去年と同じようにチャレンジャーだと思っている。チャレンジャーの気持ちでしっかり戦っていきたい」と内藤。と言いつつ、昨年の準優勝以降、周囲の自分を見る目が変化し、期待されていることは実感している。この一年、徐々に積み上げてきた責任感だ。
「変な試合はできないなっていうか…。応援してくれる人が増えて、どんな試合でも、頑張ろうっていう気持ちになります」
気負いすぎず、期待をプレッシャーでなく励みにしながらコートに入った。内藤の魅力は、ペースを実にうまく使えることと、ベースラインから強打でウィナーを取れる決定力もあることだ。
昨年はその内藤に決勝で勝った本玉は、中国の16歳を相手に少々手こずった。第1セットを6-4で奪ったあと、第2セットもワンブレークのリードだったが、逆転でセットを落とす。しかし気持ちを切り替えて最終セットは一方的にゲームを重ね、力の差を見せた。持ち味の速いテンポのストロークは、この一年でより攻撃的になっている。
昨年は、一つ年上の内藤の活躍をアメリカからネットニュースで見ていたという川口夏実(CLUB MED)が、この日、シード勢を破った唯一の日本選手となった。第16シードのルル・ラドブチッチ(スイス)に7-6(4) 6-3。ラドブチッチは122位で、410位の川口との開きは大きい。
「それくらいの選手にどこまでできるか試したい気持ちでした。向かっていくだけだったので、緊張はしなかった」と川口。立ち上がりのゲームでいきなりブレークに成功し、いったんイーブンに戻されるが、タイブレークで集中力を見せた。163cmというこの年齢の日本人としては恵まれた体格で、「好きなショットはサーブ」というのも日本人にはけっこう珍しい。
米フロリダにテニス留学中。ワイルドカード(主催者推薦枠)を得たので急きょ戻って来た。昨年の内藤と同じ14歳は、今年は私が、とまでは言わなかったが、チャンスがゼロでないことは感じているだろう。どこまでいけるか楽しみだ。
(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)