大阪・靱テニスセンターで「大阪市長杯 世界スーパージュニアテニス選手権大会」(ITF Grade A/本戦10月17~23日/ハードコート)が開幕した。国際ジュニア大会で最高レベルの『グレードA』大会。初日の17日、男子はシングルス1回戦32試合のうち26試合が行われた。
29人の日本人が本戦に名を連ねる。日本勢トップで全米オープン・ジュニアではベスト4入りの活躍を見せた第2シードの綿貫陽介(フリー)は、トルコの選手に6-2 6-4で快勝。そのほかの日本のシード勢は、第7シードの清水悠太(西宮甲英高)がニュージーランドの選手に6-3 6-4で、第12シードの田島尚輝(TEAM YONEZAWA)がオーストラリアの選手に7-6(5) 6-1でいずれもストレート勝ちをおさめた。
しかし、第5シードの堀江亨(関スポーツ塾・T)はヤンキ・エレル(トルコ)に2-6 4-6で敗れ、残念ながら海外勢も含めて、この日唯一のシード倒れとなった。
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綿貫の今大会出場は4年目になる。過去3年の成績は、1回戦、1回戦、ベスト8。ランキングと期待値は、ケガなど特別な事情がなければ比例すると考えていい。世界ジュニア・ランキング5位、第2シードという数字は、もちろんこの4年で最高の期待値を示している。
グランドスラム・ジュニアのタイトルを獲るという目標は叶わなかったが、同じグレードAの大会で、しかも日本で行われるジュニア最高のトーナメントにかける熱量はグランドスラムに匹敵する。
「いろんなことを経験してきた大会ですし、いつもこの大会は楽しみにしている」
そんな大切な大会を迎えるその日まで、実は不調続きだったという綿貫だが、「そのわりにはいい試合ができたと思う。初めのほうからちゃんとサービスゲームを押さえられて、ずっと優位を保って試合を進められたので」と1回戦を振り返った。
自己評価の通り、安定したサービスゲームは6-2 6-3という快勝の大きな要因だったが、リターンゲームでの積極的な攻めも印象的だった。サービスのコースを読んで大胆に動いたり、セカンドサービスでは思いきって前につめてネットプレーにつなげたり…。リスキーな攻撃を仕掛ければミスはつきものだが、大会の序盤だから試せることでもある。目の前の試合を無難に勝つだけでなく、先を見た戦法だったのだろう。
昨年、台湾のルオ・チェンシュンと組んでタイトルを獲ったダブルスには今年エントリーせず、シングルスでのグレードA初優勝にかける。
1ヵ月前にはデビスカップ・ワールドグループ・プレーオフ「日本対ウクライナ」戦で日本チームに帯同し、代表メンバーの練習や試合を間近で見て、ヒッティングパートナーを担ったり、いろいろと教えを請うたりすることもできた。
「もう夢のようでした。楽しすぎて、あっという間で」
今、その経験はどう生きているのか。それに関しては、首を傾げて苦笑いした。確かに、わずか1ヵ月で何かが劇的に変わったなどといえば逆に嘘くさいかもしれない。しかし本人が気づいていないだけで、錦織圭(日清食品)をはじめ日本を代表するプロと過ごした濃密な時間のせいか、以前よりも少々貫禄が増したように見える。
(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)