フェドカップ・ワールドグループⅡプレーオフ「日本対ベラルーシ」の2日目は、シングルス2試合とダブルス1試合が行われた。初日を1勝1敗で終えていた日本は、シングルス第1試合で奈良くるみ(安藤証券)がビクトリア・アザレンカに3-6 3-6で敗れたものの、シングルス第2試合では森田あゆみ(キヤノン)がアリャクサンドラ・サスノビッチに7-6(5) 4-6 6-4のフルセットで勝利。しかし、勝負がかかったダブルスは、青山修子(近藤乳業)と森田あゆみのペアがアザレンカ/オルガ・ゴボルツォバに3-6 4-6のストレート負けを喫し、通算2勝3敗でワールドグループⅡへの昇格はならなかった。
エース対決となった第1試合、奈良は本来の姿を取り戻しつつあるアザレンカに、必死に食らいついた。「トップ選手を相手に展開力が通じる部分もあった」と奈良が手応えを口にし、元ナンバーワンも「今日の彼女(奈良)は昨日(のゴボルツォバ戦)とはレベルが違った」と称えたように、第2セットではコーナー深くにコントロールされたショットでアザレンカの攻撃を封じ込め、主導権を握る瞬間もあった。それでも、「タイトな場面で相手に上回られた」と奈良。ゲームがかかったポイントはことごとく相手に押さえられ、試合全体の流れが最後までアザレンカの手の内にあったことは否めない。
ベラルーシが王手をかけて迎えたシングルス第2試合。両国の監督が動いた。ベラルーシは、昨日の試合で左足を痛めていたゴボルツォバをダブルスに温存し、サスノビッチを投入。日本の吉田友佳監督も、「ゴボルツォバには負けていないし、状態もベストに近かった」という森田を土居に替えて送り出すという、勝負に打って出た。
ケガのために約8ヵ月もの間、ツアーから離れ、3月に復帰したばかりの森田。「負けたら終わり。不安や緊張もあった」という中で、見事にチームの期待に応える。序盤はサスノビッチのバックハンドによる高速展開に振り回されるも、自慢のハードショットがコートに収まり始めてからは徐々にペースを引き戻していく。相手を寄せ付けぬゲームがあったかと思えば、イージーなエラーを繰り返してブレークを許すなど、最後まで出入りの激しいゲームとなったが、ポイントの行方を左右していたのは常に森田自身のショットの精度。ファイナルセットまでもつれ込みはしたが、最後は力でサスノビッチをねじ伏せた。
勝敗の行方が委ねられたダブルス。日本は予定通りに青山/森田を送り出す。「(この1週間)2人でダブルスをつくってきた。自信を持って決めた」と吉田監督。一方のベラルーシは、エースのアザレンカと温存していたナンバー2のゴボルツォバで勝負をかけてきた。
森田のストロークでゲームをコントロールし、青山がネット際で次々とボレーの網にかける。狙いどおりの展開に持ち込めた場面もあった。それでも、アザレンカ&ゴボルツォバの“前”への圧力は強大だった。狙いの形に持ち込む前にストロークで押し込まれ、エラーを誘われる。第2セットの4-4で迎えた第9ゲーム、30-30から森田が痛恨の連続ダブルフォールトでブレークを許すと、そこから逆襲する余力は残されていなかった。
終わってみれば、アザレンカひとりに3敗。その壁は高く、ぶ厚かった。穂積絵莉(エモテント)から森田へのメンバー交代、スクランブルでの選手起用も含め、まさに総力戦で3年ぶりとなるホームでの戦いに臨んだ。「負けはしたが、力は出せた」という吉田監督の言葉は真実だろう。それが最終試合まで勝利の可能性をつないだ最大の要因だ。それだけに、日本の“チーム力”が相手の絶対的な“個”の力に屈してしまった意味は重い。アジア/オセアニア予選からの出直しを迫られた日本女子が、この一年でどう巻き返していくのか。チーム力とともに、個々のレベルアップが必須であることは間違いない。
※トップ写真はワールドグループⅡプレーオフでベラルーシに敗れた日本チーム
エース対決となった第1試合、奈良は本来の姿を取り戻しつつあるアザレンカに、必死に食らいついた。「トップ選手を相手に展開力が通じる部分もあった」と奈良が手応えを口にし、元ナンバーワンも「今日の彼女(奈良)は昨日(のゴボルツォバ戦)とはレベルが違った」と称えたように、第2セットではコーナー深くにコントロールされたショットでアザレンカの攻撃を封じ込め、主導権を握る瞬間もあった。それでも、「タイトな場面で相手に上回られた」と奈良。ゲームがかかったポイントはことごとく相手に押さえられ、試合全体の流れが最後までアザレンカの手の内にあったことは否めない。
ベラルーシが王手をかけて迎えたシングルス第2試合。両国の監督が動いた。ベラルーシは、昨日の試合で左足を痛めていたゴボルツォバをダブルスに温存し、サスノビッチを投入。日本の吉田友佳監督も、「ゴボルツォバには負けていないし、状態もベストに近かった」という森田を土居に替えて送り出すという、勝負に打って出た。
ケガのために約8ヵ月もの間、ツアーから離れ、3月に復帰したばかりの森田。「負けたら終わり。不安や緊張もあった」という中で、見事にチームの期待に応える。序盤はサスノビッチのバックハンドによる高速展開に振り回されるも、自慢のハードショットがコートに収まり始めてからは徐々にペースを引き戻していく。相手を寄せ付けぬゲームがあったかと思えば、イージーなエラーを繰り返してブレークを許すなど、最後まで出入りの激しいゲームとなったが、ポイントの行方を左右していたのは常に森田自身のショットの精度。ファイナルセットまでもつれ込みはしたが、最後は力でサスノビッチをねじ伏せた。
勝敗の行方が委ねられたダブルス。日本は予定通りに青山/森田を送り出す。「(この1週間)2人でダブルスをつくってきた。自信を持って決めた」と吉田監督。一方のベラルーシは、エースのアザレンカと温存していたナンバー2のゴボルツォバで勝負をかけてきた。
森田のストロークでゲームをコントロールし、青山がネット際で次々とボレーの網にかける。狙いどおりの展開に持ち込めた場面もあった。それでも、アザレンカ&ゴボルツォバの“前”への圧力は強大だった。狙いの形に持ち込む前にストロークで押し込まれ、エラーを誘われる。第2セットの4-4で迎えた第9ゲーム、30-30から森田が痛恨の連続ダブルフォールトでブレークを許すと、そこから逆襲する余力は残されていなかった。
終わってみれば、アザレンカひとりに3敗。その壁は高く、ぶ厚かった。穂積絵莉(エモテント)から森田へのメンバー交代、スクランブルでの選手起用も含め、まさに総力戦で3年ぶりとなるホームでの戦いに臨んだ。「負けはしたが、力は出せた」という吉田監督の言葉は真実だろう。それが最終試合まで勝利の可能性をつないだ最大の要因だ。それだけに、日本の“チーム力”が相手の絶対的な“個”の力に屈してしまった意味は重い。アジア/オセアニア予選からの出直しを迫られた日本女子が、この一年でどう巻き返していくのか。チーム力とともに、個々のレベルアップが必須であることは間違いない。
※トップ写真はワールドグループⅡプレーオフでベラルーシに敗れた日本チーム
(テニスマガジン/編集部◎杉浦多夢)