大阪府吹田市・江坂テニスセンターで開催中の「平成25年度 全日本学生室内テニス選手権大会」(本戦12月5~8日/インドア・ハードコート)。最終日の本戦4日目はシングルス決勝が行われ、山本みどり(関西学院大3年)が西本恵(慶應義塾大2年)をストレートで下して優勝した。
ノーシード対決となった山本と西本の決勝戦。学年は山本がひとつ上だが、西本はユニバーシアード、東アジア大会の日本代表メンバーであり、インカレ(全日本学生テニス選手権)などの実績でも上回る。そんな強敵を相手に、しかし山本は出だしから怯むことなく向かっていった。勝ちたい。勝って優勝したい。ただ、それだけだった。
試合は予想通りの激しい打ち合いとなる。山本は激しい闘志を持ちながら、しかし頭の中は冷静だった。落ち着いていた。西本の重いボールに対し、角度をつけ、緩急をつけ、絶妙にミスを引き出していく。「早いテンポになかなか対応できなかった」と西本。第1セットは3-3から山本が3ゲームを連取し、6-3で先取した。
「強気で攻めていった」と山本
西本の粘り強さには定評がある。第1セットを奪ったことで山本が優位には立っても、まだ勝負の行方はわからない。息詰まるストローク戦。両者ともに譲らない。それでも2-1から4-2とリードを広げたのは山本の方だった。5-2とされたところで西本がトレーナーを呼んだが、山本の勢いは衰えなかった。5-3からのサービスゲーム、15-0からのサービスエース2連発は山本の執念がボールに乗り移っているように見えた。
巻き返すことができなかった西本
優勝が決まった瞬間から涙が止まらなかった。声を上げて泣いた。大学に入ってから思うような成績が残せず、悶々としていた。苦しかった。それでも腐ることなく、日々の練習を重ねてきた。今大会に賭ける想いは誰よりも強かっただろう。「努力が報われました。神様は本当にいるのだなと……テニス人生の中で一番うれしい優勝です」と涙を拭った。
ストレートで西本を下した山本(左)
3歳年下の実妹、ひかりはプロに転向したばかり。「上(の世界)で戦っている妹にも刺激をもらっています」と山本。のどから手が出るほど欲しかった全国タイトル。今夏のインカレは藤原悠里(関西大4年)が優勝した。インカレ室内は山本が制し、「関西の意地を見せることができたと思う」と誇らしげに語った。
ノーシードから優勝を飾った山本
【女子シングルス決勝】
○山本みどり(関西学院大3年)6-3 6-3 ●西本恵(慶應義塾大2年)
※トップ写真は、優勝を決めて涙を流す山本
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(テニスマガジン/編集部◎牧野 正)