慶應義塾大学日吉キャンパス(神奈川県横浜市)で開催中の「慶應チャレンジャー国際テニストーナメント2013」(11月11~17日/賞金総額5万ドル/ハードコート)の大会最終日はシングルス決勝が行われ、第1シードのマシュー・エブデン(オーストラリア)が第3シードの添田豪(空旅ドットコム)を2-6 7-6(3) 6-3で下して優勝を飾った。
 添田はオープニングゲームをいきなりブレークして幸先の良いスタート。さらにリードを広げた添田が6-2で第1セット先取に成功した。
続く第2セットも4-1とリードを広げた添田だったが、ここからエブデンが反撃を開始。ブレークバックに成功したエブデンがタイブレークに持ち込んだ第2セットを奪い返し、勝負の行方は最終セットへ持ち込まれた。
第3セットも先にリードしたのは添田だったが、すぐさまブレークバックに成功したエブデンが、攻撃の手を緩めることなく攻め続けて流れをつかみ、最後は添田を押し切った。
 エブデンは10月のメルボルン・チャレンジャー(5万ドル)以来の今季3勝目。添田は2008年大会でも決勝に進出していたが、その時はイ・ヒュンタク(韓国)に敗れており、慶應チャレンジャー初優勝はならなかった。
【シングルス決勝】
○マシュー・エブデン(オーストラリア)[1] 2-6 7-6(3) 6-3 ●添田豪(空旅ドットコム)[3]
※[ ]数字はシード順位
大会最終日レポート
 本日最終日、添田豪対マシュー・エブデンの決勝戦は世界トップ選手同士の対戦にふさわしい好ゲームとなった。
 第1セットを6-2で先取した添田は第2セットも4-1とリード。添田の完勝の雰囲気が漂うが、エブデンがしぶといプレーでつなぎとめる。一方、添田は優勝のプレッシャーからか2ブレークを許して4-4まで追いつかれる。迎えたエブデンのサービスゲームで0-40と添田はトリプル・ブレークポイントを握る。この場面、まずエブデンはサーブ&ボレーでポイントを取り15-40とする。このポイントの取り方が素晴らしく落ち着いていて、添田にボディーブローでプレッシャーを与えた。
 世界トップ100選手の台湾ルーも、0-40の場面でサーブ&ボレーで1ポイント取り返して流れを変えていたことを思い出す。エブデンはその後もネットプレーを混ぜてキープする。そして、流れに乗ったエブデンはとうとうタイブレークで第2セットをものにする。
 ファイナルセットも3-1とリードした添田だったが、そこからダブルフォールトなど自らのミスでポイントを落としてしまう。最後は6-3でエブデンが逆転勝利。添田にとっては悔しい敗戦となった。
 敗戦後、添田は「勝たなくてはいけない試合を落としてしまった。この経験を糧に来週の豊田チャレンジャーも全力を尽くしたい」と悔しさをかみしめていた。
 一方のエブデンは「第2セットの中盤まで添田のプレーが素晴らしく何もできなかったが、諦めずにファイトを続けた。最後はラッキーもあった。この大会は観客や運営スタッフが素晴らしく、日本滞在は素晴らしいものになった。全豪オープンも全力を尽くしたい」と振り返った。
 連日、練習から試合までコート脇で常に応援しながら寄り添うエブデン夫人の姿が印象的であった。まさに2人で勝ち取った勝利。ツアー転戦はチーム力が必要となることを改めて感じた。添田を大会期間中サポートしていたダビデ・サンギネッティ・コーチ、前田トレーナーの力も素晴らしかった。
 5回目の開催となる慶應チャレンジャー2013は今までの開催の中で最もレベルの高い大会となった。韓国2週(ソウル・寧越)→横浜(慶應)→豊田(ダンロップワールドチャレンジ)と4週続くアジア・シリーズにより、数多くのトップ選手や期待若手選手のエントリーにつながった。
 日本人選手にとってもポイント獲得だけでなく、強い選手との対戦により、よりレベル向上につながる大会になった。
 特に来年1月に開催される全豪オープン本選入りを目指す選手にとっては最後のチャンスをつかむ大会となった。添田も今週の準優勝で世界ランク105位入りして、全豪オープン本選入りをほぼ確定した。
 本日の観客数はトータル約700名。有明では錦織圭対マッケンローのドリームマッチが開催されている中、本当に多くの方々にお越し頂いた。
 最後に、今大会の開催にあたりまして、ご協賛及びご協力を頂きました企業各社の皆様、ボランティアスタッフとして大会を支えて下さった皆様、連日観戦にお越し頂きました皆様、全ての関係者の皆様に対して、心より御礼申し上げます。
来年も大会がより一層素晴らしいものとなるよう、スタッフ一同全力を尽くしていく所存です。
レポート◎トーナメントディレクター 坂井利彰

※大会オフィシャルサイトはこちら
※トップ写真はシングルス決勝を戦ったマシュー・エブデン(左)と添田豪(右)
写真提供・取材協力◎慶應チャレンジャー広報部
(テニスマガジン/Tennis Magazine)