Quantcast
Channel: TENNIS DAILYのNEWS
Viewing all articles
Browse latest Browse all 10853

[デ杯日本対コロンビア] 添田が最終試合を制して、日本が3-2でワールドグループ復帰を決める

$
0
0
 デ杯ワールドグループ・プレーオフ日本対コロンビア戦(9月13~15日/有明コロシアム)は日本の1勝2敗で最終日を迎えた。

 第1試合のエース対決で錦織圭(日清食品)が、サンティアゴ・ヒラルド(コロンビア)に快勝し、2勝2敗のタイとなって最終試合へ突入。予定通り、添田豪(空旅ドットコム)とアレハンドロ・ファージャ(コロンビア)が戦った。

 「予想通りの流れで自分に回ってきた」と話したのはファージャだ。コロンビアチームは錦織に2敗することは計算に入れた上で、ダブルスと添田からの2勝で勝つという作戦を立てていたという。
 だが、「今の自分にできるだけのプレーを尽くしたが、ここぞというところで添田がレベルを上げてきて、大事なポイントでの添田のプレーは本当にハイレベルだった。自分の力が出せず残念だったという気持ちもあるが、それ以上に添田のプレーが良かった」と試合後のファージャ。
 スコアは4-6 6-4 6-3 6-3。第1セットこそ落とした添田だったが、その後はしっかりと立て直し、7000人近いファンの期待に応えて逆転で勝利を決めた。

 「弱いと思っていたフォアを攻めた。最初はうまくいっていたが、途中からはそのフォアでダウン・ザ・ラインにエースを決められるようになった。添田は初日にフルセットを戦っていたので、フィジカルが落ちてくれないかとも思ったが、落ちてこなかった」とファージャは振り返っている。

「1勝2敗で今日を迎えたが、絶対に2勝2敗で自分に回ってくると思ってスタンバイしていた。いろいろなプレッシャーがあって、自分に負けそうな瞬間もあったが、自分に打ち勝てた」と話しているのは添田だ。

 添田が2勝2敗でデ杯の最終試合を戦うのはこれが初めてではない。彼は過去の経験を生かし、これまでは時折顔を出していたというネガティブな考え方を捨てて、この日の対戦に備えたのだという。

 「身体も辛かったけど、メンタルの準備が大事だと思っていた」と添田は言う。相手になるファージャについて添田は「ジュニアの頃から知っていて対戦したこともあったが、勝てたことがなく苦手意識があった」と話していたが、試合前の錦織との会話の中でファージャの弱点について聞いていたのだという。具体的には明かしてくれなかったが、「すごく助かった」と添田は笑顔で話していた。

 団体戦、しかも短期決戦のデ杯では、ちょっとした差が勝敗を分けてしまう。それは選手個々のプレーの問題だけではなく、チーム全体の雰囲気や会場のムード、試合の流れなど、様々な要因で作られる空気のようなもので、方程式のように決まった解はない。
 
 まず、今回のコロンビア戦では、初日から想定していた以上の数のテニスファンが有明コロシアムを訪れ、日本のホームというムードを作ったことが大きい。
 添田は「テニスも他の競技と同じような盛り上がりのムードが作れるようになったんじゃないかと、客観的に見ても思った。それが自分たちの大きな力になったことは間違いない」と話し、錦織もまた「デ杯ならではの雰囲気で、自分たちのいいところを引き出してもらえたと思う」と話している。
 
 錦織に関して言えば、先の全米オープンの頃には、メンタル面での問題を口にしていたが、「デ杯にくると強制的に気持ちが引き上げられる。日本を背負って戦う、いろいろな思いが奮い立たせてくれる」と話していた。
 
 実はコロンビアは、この部分で日本チームに対して隙を作ってしまった気配がある。
 添田からの2勝とダブルスで勝って日本に勝つという戦略はいいとしても、彼らはこの3日間で「12位の錦織に勝つのは非現実的」という言葉を繰り返し使っていた。それが逆に彼らを精神的に追い込んだ可能性もある。錦織というエースの存在が相手にプレッシャーをかけていたのと同時に、添田戦には必ず勝たなければならないという重圧が、初日のヒラルドにフルセットを強い、最終日の第2セット以降のファージャには足かせとなったのかもしれない。

 ともあれ、これで日本は来季、強豪ひしめくワールドグループで戦うことになった。添田は「アジアでは自分たちが格上ということが多かったが、今度は(ワールドグループでは)チャレンジャーとして戦うメンタリティをつけないといけないと思う」と言葉にし、他の選手たちも口々に、「もしもアウェイで戦うとなればクレーの可能性が高い。もっとフィジカルも技術も上げないといけない」と話していた。
 また、植田実監督は「日本の長年の宿題」と表現したダブルスの強化について、取り組む準備があるとも話している。

 だが、2日目のダブルスの敗戦の後、杉田祐一(三菱電機)はこう話していた。「僕たち4人はシングルスプレーヤー。今持っているシングルスの技術でダブルスを戦うしかない」。
 
 シングルスの選手が単複を戦うことが少なくなっている今、世界の強豪国でもダブルスまでが盤石という国は少ない。デ杯は5試合で3試合を取れば勝ちというフォーマットで、シングルスが4試合にダブルスが1試合。それぞれの国は、それぞれの事情に合わせたチームを作り、対戦相手との関係の中で、デ杯を戦っている。

 日本にも日本の戦い方があってもいい。弱点を補うための準備は常に必要だが、同時に勝つための準備が求められるのもデ杯。ワールドグループを勝ち抜くために、日本の選手たちの能力を最大限に発揮できる布陣と戦い方についてチームとして再考し、形として出さなければならない。来季のワールドグループ1回戦は2月。そのために残された時間は、実はさほど多くはない。

 なお、2014年のワールドグループ1回戦の日本の対戦国は、9月18日(水)に発表される予定。

(テニスマガジン/ライター◎浅岡隆太)


Viewing all articles
Browse latest Browse all 10853


<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>