第72回全国高等学校対抗テニス大会および第105回全国高等学校テニス選手権大会(近畿インターハイテニス競技/8月2~4日団体戦、5~8日個人戦/マリンテニスパーク・北村)の3日目、女子団体は準決勝・決勝が行われた。決勝は、相生学院(兵庫)が高校選抜との春夏連覇を狙う京都外大西(京都)を2-0で下し、初優勝を飾った。
まず決勝へと名乗りをあげたのは、秀明八千代(千葉)を2-0で下した相生学院(兵庫)。しかし、簡単な勝利ではなかった。秀明八千代は前日の準々決勝で大河真由が足を負傷、エースを欠いての戦いとなったが、それでも相生学院・丸尾幸弘監督に、「さすが関東の強豪、(ナンバー2も3も)強かった」と言わしめる健闘。ともに敗れたものの、S2矢野伽南子は上田らむ から第1セットを奪い、太田夏菜子/今村美木菜のダブルスも相生学院の堺愛結/池内七夕に5-7 5-7と、最後まで食らいついてみせた。
もう一方のブロックでは、京都外大西が城南学園(大阪)との息詰まる死闘を2-1で制した。シングルスで1勝ずつ分け合い、決勝のチケットの行方はダブルスに委ねられる。京都外大西はナンバー1の越野菜摘を温存の意味を含めてダブルスへ投入、対する城南学園もナンバー2の今村南を配するなど、両校ともに勝負と見込んだ試合は3時間30分を超えるフルセットの熱戦となったが、京都外大西が7-6(8) 2-6で迎えたファイナルセットを6-3で押さえ、春夏連覇への挑戦権を手にした。
地元・近畿対決となった決勝は、スタートから相生学院が流れをつかむ。シングルス2本とダブルス、3試合すべてで第1セットを先制。ゲーム全体の主導権を握ったかに思えた。しかし、「初戦の早稲田実業(東京)戦をクリアしてからは、(優勝も)いけるという雰囲気がチームに生まれた」と立村克己監督が言うように、京都外大西の選手たちにあきらめの色は微塵も浮かんでいなかった。S1に戻った越野が、攻撃に変化をつけて藤原夕貴から第2セットを取り返すと、大野菜々子/八田真穂のダブルスも第2セットで5-3とリードを奪う。
しかし、反転しそうな流れをふたたび相生学院に引き戻したのが、S2上田らむ だった。「なるべく早く終わらせて勢いをつけられるように」と試合に臨んでいた上田は、早いテンポで序盤から京都外大西の大塚芽生を翻弄。第2セットに入ってからも追いすがる大塚を「気合いで」抑えきり、反撃の波にさらされていたダブルス・堺愛結/池内七夕の元へと駆けつけた。
「ポイントはダブルス。(自分たちの)シングルスは強い、1本は取れる。あとはダブルス」と丸尾監督が大会のキーにあげれば、「自分たちのダブルスに全体の流れがかかっている。プレッシャーはあった」と、堺と池内も自らのプレーが鍵を握っていることを自覚していた。そして、上田の援護射撃によって、のしかかっていたプレッシャーは軽減され、「自分たちのプレーができた」。上田が勝利を決めた瞬間は、第2セットの3-5。そこから一気に4連続でゲームを奪い返し、相生学院に初の全国タイトルをもたらした。
キャプテンにしてエースの重責を担った藤原は、「高校選抜の悔しさがチームにあった。あんな悔しい思いはもうしたくなかった。この優勝はチームのみんなで勝ったという感じがすごくある」と喜びを語り、丸尾監督も「昨年はインターハイに出場できず、(今年の)高校選抜もベスト8に終わった。そこから選手たちの練習への意欲が変わり、トレーニングにも多くの時間を割くようになった。その成果が表れたと思う」と、キャプテン藤原を中心に夏へ向けて必死に取り組んできた選手たちを称えた。
あと一歩で春夏連覇の偉業を逃した京都外大西だが、その戦いぶりは見事だった。「負けた瞬間は悔しさでいっぱいになったけど、昨年は1回戦負けだったインターハイで、準優勝することができた。選抜では優勝したし、自分たちのやってきたことは間違いではなかった」とキャプテンの八田がチームを誇れば、立村監督も「敗れたとはいえ選手たちは自分の力を発揮してくれた。“しぶとさ”という意味では他校に警戒してもらった。そのことは誇りに思っていい」と選手たちを労っていた。
大会4日目となる8月5日は個人戦がスタート。男子シングルス1~4回戦と女子ダブルスの1~3回戦、準々決勝が行われる。男子の試合開始は9 時~、女子は10時~の予定。
※トップ写真は初優勝を果たした相生学院
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まず決勝へと名乗りをあげたのは、秀明八千代(千葉)を2-0で下した相生学院(兵庫)。しかし、簡単な勝利ではなかった。秀明八千代は前日の準々決勝で大河真由が足を負傷、エースを欠いての戦いとなったが、それでも相生学院・丸尾幸弘監督に、「さすが関東の強豪、(ナンバー2も3も)強かった」と言わしめる健闘。ともに敗れたものの、S2矢野伽南子は上田らむ から第1セットを奪い、太田夏菜子/今村美木菜のダブルスも相生学院の堺愛結/池内七夕に5-7 5-7と、最後まで食らいついてみせた。
もう一方のブロックでは、京都外大西が城南学園(大阪)との息詰まる死闘を2-1で制した。シングルスで1勝ずつ分け合い、決勝のチケットの行方はダブルスに委ねられる。京都外大西はナンバー1の越野菜摘を温存の意味を含めてダブルスへ投入、対する城南学園もナンバー2の今村南を配するなど、両校ともに勝負と見込んだ試合は3時間30分を超えるフルセットの熱戦となったが、京都外大西が7-6(8) 2-6で迎えたファイナルセットを6-3で押さえ、春夏連覇への挑戦権を手にした。
地元・近畿対決となった決勝は、スタートから相生学院が流れをつかむ。シングルス2本とダブルス、3試合すべてで第1セットを先制。ゲーム全体の主導権を握ったかに思えた。しかし、「初戦の早稲田実業(東京)戦をクリアしてからは、(優勝も)いけるという雰囲気がチームに生まれた」と立村克己監督が言うように、京都外大西の選手たちにあきらめの色は微塵も浮かんでいなかった。S1に戻った越野が、攻撃に変化をつけて藤原夕貴から第2セットを取り返すと、大野菜々子/八田真穂のダブルスも第2セットで5-3とリードを奪う。
しかし、反転しそうな流れをふたたび相生学院に引き戻したのが、S2上田らむ だった。「なるべく早く終わらせて勢いをつけられるように」と試合に臨んでいた上田は、早いテンポで序盤から京都外大西の大塚芽生を翻弄。第2セットに入ってからも追いすがる大塚を「気合いで」抑えきり、反撃の波にさらされていたダブルス・堺愛結/池内七夕の元へと駆けつけた。
「ポイントはダブルス。(自分たちの)シングルスは強い、1本は取れる。あとはダブルス」と丸尾監督が大会のキーにあげれば、「自分たちのダブルスに全体の流れがかかっている。プレッシャーはあった」と、堺と池内も自らのプレーが鍵を握っていることを自覚していた。そして、上田の援護射撃によって、のしかかっていたプレッシャーは軽減され、「自分たちのプレーができた」。上田が勝利を決めた瞬間は、第2セットの3-5。そこから一気に4連続でゲームを奪い返し、相生学院に初の全国タイトルをもたらした。
キャプテンにしてエースの重責を担った藤原は、「高校選抜の悔しさがチームにあった。あんな悔しい思いはもうしたくなかった。この優勝はチームのみんなで勝ったという感じがすごくある」と喜びを語り、丸尾監督も「昨年はインターハイに出場できず、(今年の)高校選抜もベスト8に終わった。そこから選手たちの練習への意欲が変わり、トレーニングにも多くの時間を割くようになった。その成果が表れたと思う」と、キャプテン藤原を中心に夏へ向けて必死に取り組んできた選手たちを称えた。
あと一歩で春夏連覇の偉業を逃した京都外大西だが、その戦いぶりは見事だった。「負けた瞬間は悔しさでいっぱいになったけど、昨年は1回戦負けだったインターハイで、準優勝することができた。選抜では優勝したし、自分たちのやってきたことは間違いではなかった」とキャプテンの八田がチームを誇れば、立村監督も「敗れたとはいえ選手たちは自分の力を発揮してくれた。“しぶとさ”という意味では他校に警戒してもらった。そのことは誇りに思っていい」と選手たちを労っていた。
【女子団体決勝】※校名の左に付いている数字はドロー番号、丸数字は学年
25相生学院(兵庫)2-0 38京都外大西(京都)
D ○堺 愛結②/池内七夕③ 6-3 7-5 ●大野菜々子②/八田真穂③
S1 藤原夕貴③ 6-3 1-6 打切り 越野菜摘③
S2 ○上田らむ③ 6-2 6-4 ●大塚芽生②
【女子団体準決勝】
12秀明八千代(千葉)0-2 25相生学院(兵庫)
D ●太田夏菜子②/今村美木菜③ 5-7 5-7 ○堺 愛結②/池内七夕③
S1 岩井真優③ 6-3 2-6 0-2打切り 藤原夕貴③
S2 ●矢野伽南子③ 6-4 3-6 1-6 ○上田らむ③
38京都外大西(京都)2-1 39城南学園(大阪)
D ○越野菜摘③/八田真穂③ 7-6(8) 2-6 6-3 ●今村 南③/反田茉鈴③
S1 ●大野菜々子② 1-6 6-7(2) ○向井マリア③
S2 ○大塚芽生② 7-6(5) 6-3 ●藤原早気②
大会4日目となる8月5日は個人戦がスタート。男子シングルス1~4回戦と女子ダブルスの1~3回戦、準々決勝が行われる。男子の試合開始は9 時~、女子は10時~の予定。
※トップ写真は初優勝を果たした相生学院
(テニスマガジン/編集部◎杉浦多夢)