2日前、右足親指の手術後初の実戦だったにもかかわらず、「自分でも驚いている」というほどのプレーでストレート勝ちした錦織圭(日清食品)。2回戦も “省エネ勝利” だった。対戦相手の世界ランク48位パブロ・アンドゥハル(スペイン)が肘痛により途中棄権したからだ。錦織が6-4 6-1で2セットを連取した直後だった。なお、男子シングルスの1回戦だけで6人の途中棄権者が出た今大会、アンドゥハルは7人目の犠牲者となった。
こういう場合、勝者は決して「幸運」などと言わないが、錦織の勇気の挑戦には確かに運までついてきた。
アンドゥハルには昨年マドリッドで敗れており、しぶとく嫌な敵だった。だが、第2セットになってからは動きが緩慢でポイントに対する執着心がない。錦織が4-1としたところでトレーナーを呼んだため異変が判明。しかし積極的な治療は行わず、そこから錦織が2ゲームを連取してセットを奪うと、アンドゥハルはプレー続行をあきらめた。
今の錦織にとっては試合勘を取り戻すために実戦をこなすことも必要だが、患部への負担は極力抑えたい。「試合は短いに越したことはない」は本心だろう。試合時間1時間3分。ちょうどよい。しかも、しっかりと中身があった。特に第1セット、両者ともブレークポイントも与えないまま、錦織が5-4で迎えた第10ゲームをブレークしてセットを奪取。このゲームだけでフォアのウィナーが3本あった。
「5-4で相手にプレッシャーかかるところだし、ここでちょっくら攻めようかなと思って…」と少しおどけて言ったが、それがまさに試合勘というものだろう。どこでプレッシャーをかけるか見極める判断力、それを実行する度胸、成功させる冷静さ……タイトな展開を、満足できるプレーでものにしたことは次につながる。これは決して運ではない。錦織が自力でつかみ取ったものだ。自身の見立てでは、試合勘はほぼ100%戻ってきたというから頼もしい。
「一試合一試合、どれだけできるか試しながらなので、勝ちたい勝ちたいという気持ちがいつもほどはなく、それが逆にいいのかもしれないですね」
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こういう場合、勝者は決して「幸運」などと言わないが、錦織の勇気の挑戦には確かに運までついてきた。
アンドゥハルには昨年マドリッドで敗れており、しぶとく嫌な敵だった。だが、第2セットになってからは動きが緩慢でポイントに対する執着心がない。錦織が4-1としたところでトレーナーを呼んだため異変が判明。しかし積極的な治療は行わず、そこから錦織が2ゲームを連取してセットを奪うと、アンドゥハルはプレー続行をあきらめた。
今の錦織にとっては試合勘を取り戻すために実戦をこなすことも必要だが、患部への負担は極力抑えたい。「試合は短いに越したことはない」は本心だろう。試合時間1時間3分。ちょうどよい。しかも、しっかりと中身があった。特に第1セット、両者ともブレークポイントも与えないまま、錦織が5-4で迎えた第10ゲームをブレークしてセットを奪取。このゲームだけでフォアのウィナーが3本あった。
「5-4で相手にプレッシャーかかるところだし、ここでちょっくら攻めようかなと思って…」と少しおどけて言ったが、それがまさに試合勘というものだろう。どこでプレッシャーをかけるか見極める判断力、それを実行する度胸、成功させる冷静さ……タイトな展開を、満足できるプレーでものにしたことは次につながる。これは決して運ではない。錦織が自力でつかみ取ったものだ。自身の見立てでは、試合勘はほぼ100%戻ってきたというから頼もしい。
「一試合一試合、どれだけできるか試しながらなので、勝ちたい勝ちたいという気持ちがいつもほどはなく、それが逆にいいのかもしれないですね」
開幕前の心配をよそにこうまで順調だと、そろそろ欲が出てくるのではないか。しかしそれは恐れることではないだろう。グランドスラムを戦う本来のメンタルになったということ。そのとき、やっと私たちも「今回の錦織には期待できない」と思い込んでいた心の中をリセットできる。
女子ダブルスに、154cmの青山修子(近藤乳業)と155.5cmの奈良くるみ(安藤証券)の “最低身” ペアが初コンビで挑んだ。
「2人が前に出るスタイルではないので、(2人とも小さいことでの)不安はない」と青山が言えば、「目線が同じ人はあまりいないので、むしろ落ち着きます(笑)」と奈良。ワシントン大会のダブルス決勝で対戦した2人であり、今後のフェドカップを睨んだ上でもこうした日本人ペアの強化が望まれるが、エレナ・ヤンコビッチ/クララ・クカロバ(セルビア/チェコ)に2-6 1-6で敗れた。
ところで、試合後の握手の際に奈良は、ヤンコビッチから「シングルスで当たらないと思ったら、ダブルスで当たったわね」と言われたそうだ。昨年の全米から全豪、全仏、とグランドスラムで3大会続けて対戦。全勝しているヤンコビッチだが、かなり奈良を意識している!?
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女子ダブルスに、154cmの青山修子(近藤乳業)と155.5cmの奈良くるみ(安藤証券)の “最低身” ペアが初コンビで挑んだ。
「2人が前に出るスタイルではないので、(2人とも小さいことでの)不安はない」と青山が言えば、「目線が同じ人はあまりいないので、むしろ落ち着きます(笑)」と奈良。ワシントン大会のダブルス決勝で対戦した2人であり、今後のフェドカップを睨んだ上でもこうした日本人ペアの強化が望まれるが、エレナ・ヤンコビッチ/クララ・クカロバ(セルビア/チェコ)に2-6 1-6で敗れた。
ところで、試合後の握手の際に奈良は、ヤンコビッチから「シングルスで当たらないと思ったら、ダブルスで当たったわね」と言われたそうだ。昨年の全米から全豪、全仏、とグランドスラムで3大会続けて対戦。全勝しているヤンコビッチだが、かなり奈良を意識している!?
(Tennis Magazine/ライター◎山口奈緒美)