日本勢、1回戦最後の登場は伊藤竜馬(北日本物産)。世界ランク51位の地元アメリカ選手、スティーブ・ジョンソンを相手にセット1-2の劣勢を強いられたが、ジョンソンがケイレンのため途中棄権し、思いがけないかたちで勝利が転がり込んだ。また、昨年に並ぶ3回戦進出をかけて成長株の17歳ベリンダ・ベンチッチ(スイス)を迎えた奈良くるみ(安藤証券)は、4-6 6-4 1-6のフルセットで敗れた。
ダブルスでは土居美咲(ミキハウス)/エリナ・スビトリーナ(ウクライナ)組とクルム伊達公子(エステティックTBC)/バーボラ・ザーラボバ・ストリコバ(チェコ)組がともに2回戦進出を決めた。
今大会、奈良が自分自身に期待する気持ちは大きかった。シードがついたからではない。テニスの調子が上がってきているという実感があったからだ。
2回戦に迎えたベンチッチは、元女王マルティナ・ヒンギスの母親メラニーさんが育てたことで知られるスイスの新星。奈良が格上とはいえ、相手が昨年末の218位から58位までランキングを上げている17歳ということを考えれば、タフな一戦だった。
ダブルスでは土居美咲(ミキハウス)/エリナ・スビトリーナ(ウクライナ)組とクルム伊達公子(エステティックTBC)/バーボラ・ザーラボバ・ストリコバ(チェコ)組がともに2回戦進出を決めた。
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2回戦に迎えたベンチッチは、元女王マルティナ・ヒンギスの母親メラニーさんが育てたことで知られるスイスの新星。奈良が格上とはいえ、相手が昨年末の218位から58位までランキングを上げている17歳ということを考えれば、タフな一戦だった。
「相手のテニスをわかった上で、チャレンジする気持ちでコートに入れた」と奈良。155.5cmでパワーもないが、フットワークを生かしたスピードと粘り強さ、緻密で丹念な攻撃力を持っている。対するベンチッチはディフェンスが安定している上、オープンスタンスでボールへのアプローチが速い。奈良は持ち味を随所に生かして互角に試合を進めたが、終わってみれば、第1セット終盤のチャンスを生かせず、セットを先取されたのが痛かった。
「自分で自分のことを追い詰めすぎた。私はまだまだだなと思いました」。ランキングが上がってもシードがついても、まだまだやることがある現状を再確認したことで、奈良はどこかうれしそうだったのが印象に残った。
奈良の2回戦よりも遅れて1回戦に登場したのが伊藤。日本勢の初戦、最後の一人だ。予選上がりとはいえ、グランドスラムの本戦8回目の慣れも感じさせた伊藤は、立ち上がりから緩急織り交ぜたショットを落ち着いて繰り出し、ジョンソンから第1セットを6-2でものにした。
「5セットの戦い方、力の抜き方もわかってきたし、今朝もリラックスして練習できた」という。しかし、相手はNCAAチャンピオンを2度経験してランキングも急上昇させてきた24歳。第2、第3セットはともにワンブレークが勝敗を左右し、ジョンソンが連取する。第4セットも最初のゲームをジョンソンがブレーク。伊藤は流れを手放しつつあった。
が、第2ゲームのデュースでジョンソンが激しいケイレンに襲われ始める。治療はチェンジオーバーのタイミングでしか認められていないため、ジョンソンが治療を受けるためにはそこまでのゲームを伊藤に譲らなくてはならない。このルールによってほとんど戦わずに2ゲームをもらった伊藤は、その後も動けない相手から簡単にポイントを重ね、伊藤が4-1としたところでジョンソンは続行を断念した。
簡単に、と書いたが、こういう状況で勝ちきるのは意外に難しい。ムキにならず、かといって同情に惑わされてもならない。淡々とサービスを叩き込み、コースを狙ってリターンを返した伊藤の平常心ぶりは素晴らしかった。
2回戦の相手はフェリシアーノ・ロペス(スペイン)。3年前にここで果たしたグランドスラム・デビューの対戦相手でもあり、昨年の楽天オープンでは1セットを取っている。3度目の対戦、過去の経験を生かせるか。
「自分で自分のことを追い詰めすぎた。私はまだまだだなと思いました」。ランキングが上がってもシードがついても、まだまだやることがある現状を再確認したことで、奈良はどこかうれしそうだったのが印象に残った。
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奈良の2回戦よりも遅れて1回戦に登場したのが伊藤。日本勢の初戦、最後の一人だ。予選上がりとはいえ、グランドスラムの本戦8回目の慣れも感じさせた伊藤は、立ち上がりから緩急織り交ぜたショットを落ち着いて繰り出し、ジョンソンから第1セットを6-2でものにした。
「5セットの戦い方、力の抜き方もわかってきたし、今朝もリラックスして練習できた」という。しかし、相手はNCAAチャンピオンを2度経験してランキングも急上昇させてきた24歳。第2、第3セットはともにワンブレークが勝敗を左右し、ジョンソンが連取する。第4セットも最初のゲームをジョンソンがブレーク。伊藤は流れを手放しつつあった。
が、第2ゲームのデュースでジョンソンが激しいケイレンに襲われ始める。治療はチェンジオーバーのタイミングでしか認められていないため、ジョンソンが治療を受けるためにはそこまでのゲームを伊藤に譲らなくてはならない。このルールによってほとんど戦わずに2ゲームをもらった伊藤は、その後も動けない相手から簡単にポイントを重ね、伊藤が4-1としたところでジョンソンは続行を断念した。
簡単に、と書いたが、こういう状況で勝ちきるのは意外に難しい。ムキにならず、かといって同情に惑わされてもならない。淡々とサービスを叩き込み、コースを狙ってリターンを返した伊藤の平常心ぶりは素晴らしかった。
2回戦の相手はフェリシアーノ・ロペス(スペイン)。3年前にここで果たしたグランドスラム・デビューの対戦相手でもあり、昨年の楽天オープンでは1セットを取っている。3度目の対戦、過去の経験を生かせるか。
(Tennis Magazine/ライター◎山口奈緒美)