ロジャー・フェデラー(スイス)はグランドスラム以外では最も大きなイベントの一つである、BNPパリバ・オープンの決勝で敗れ、準優勝に終わった。
だが、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)を相手のフルセットの末の敗戦は、昨年の彼を苦しめた背部の故障の状態が、今は悪くない状態にあることを示していた。
昨年の春先、フェデラーは7週間ほどの休養を取っている。また、ウィンブルドンの後にも背部を再び傷めて不安定になり、長年、テニス界に君臨した自分自身の力を疑うようにもなったのだという。
「あの時は確かに大丈夫なのだろうかと思っていたよ」とフェデラーは言う。「でも、こんなことがずっと続くわけじゃないと思っていた。今の自分に大事なのは我慢と待つことだと思ったんだ。そういう経験をほとんどしてこなかったから、実はそれが一番難しいことだったんだけどね。でも、新しい経験でもあったよ」。
フェデラーか敗れる度に、周囲の雑音は増し、中には引退を勧めるような声もあったが、彼はそういった声を聞き入れなかった。
「数週間前、あるいは数ヵ月前には、僕がもうこれ以上テニスをプレーできないだろうと言う人もいたね」とフェデラー。「でも、僕にはまだ勝ちたいという気持ちが強くあるし、それは炎のように燃えている。それが大事なんだよ。今の僕は、とてもいいバランスを保てていると思うね」。
インディアンウェルズでの5度目の優勝はならなかったが、フェデラーの今季の戦績はここまで19勝3敗。彼にとっては2年前に記録した23勝2敗に続く最高のスタートダッシュであり、トップ10選手を相手に4勝2敗という成績は、今季のトップでもある。
月曜日に発表されたランキングでは5位まで浮上。昨年の6月以来のトップ4復帰も間近となっている。
フェデラーは今季の初タイトルを2週間前のドバイの大会でジョコビッチを準決勝で破って挙げている。また、ブリスベンの大会では準優勝、全豪オープンでもベスト4の戦績を残している。
「安定したプレーができていてうれしいよ。大会に勝ち残れて、自分が勝つチャンスを得られているのもうれしいね」と彼は話しつつ、「とてもいいテニスがプレーできていると思っている。動きもいいし、サービスもいいし、安定感もいい。たくさんの要素が機能している感覚がある」と続けている。
フェデラーはマイアミで始まる「ソニー・オープン」に向けて準備している。昨年の彼はこの大会を背部の故障のためにスキップしていた。
「連戦ができていることに自分でもちょっと驚いてるんだ」とフェデラー。「相性のいい大会で自分がどこまでやれるか楽しみだよ。ただ、2度ほど早期敗退をしたこともあるけどね。まあ、結局は僕次第だろうとは思っている。でも、マイアミはもちろん、この先のシーズンを通して見ても、(最高の状態まで)あとほんの少しというところまではきている感じなんだ」
フェデラーのライバルも、彼の復調ぶりを感じているようだ。
「彼のショットは以前よりも深くなってきていた。特にバックハンドがね。ダウン・ザ・ラインのショットは素晴らしかったよ」とジョコビッチは言う。「彼はフォアハンドでフィニッシュするための展開を作っていたし、サービスもいい。この13、14ヵ月よりもいいプレーをしていたと思った」。インディアンウェルズでフェデラーに勝ったジョコビッチは、そう話している。(C)AP
Photo:Photo:Roger Federer, of Switzerland, hits to Novak Djokovic, of Serbia, in the final match of the BNP Paribas Open tennis tournament, Sunday, March 16, 2014, in Indian Wells, Calif. (AP Photo/Mark J. Terrill)